75期 3年 武村太郎

僕の高校野球は、入部してすぐの大阪独自大会で強豪校相手に一戦一戦を全力で戦い、ベスト16を果たした先輩たちに憧れを抱いたことから始まりました。自分もあんな風にグラウンドで躍動する先輩たちのような選手になりたいと思いながら、手書きの26番を背負ってスタンドから先輩方の姿を見ていました。

先輩たちの背中を追いかけて、誰よりも声を出して全力でプレーしてやろうと、がむしゃらに野球をしていました。学校から帰れば疲れ果ててすぐに寝落ちしてしまうようなそんな日々でした。

けれども天王寺高校の野球部は野球だけしていればいいというものではありませんでした。文武両道。それがあの頃の自分には大変でした。授業で沢山の宿題が出されて、それを夜遅くまで起きて終わらせて、次の日は朝早く起きて朝練に行く。それに加えて1日300本の素振り。そんな余裕のない生活を送るうちに、不完全燃焼に終わってしまう日も増えてきました。

自分と周りを比べて自分が嫌になったり、プレッシャーに押しつぶされそうになったりして、野球をするのが嫌になった時もありました。けれども、そんな壁に直面した時、心が折れそうになっていた僕を仲間や先輩や先生方が支えてくれました。その度に、負けるもんかと自分を奮い立たせ、何度も立ち直ることができました。そしてその支えを受けて、壁を乗り越えることができたとき、僕は1人の人間として大きく成長していました。仲間と共に喜びも苦しみも分かち合って、もがきながらも天王寺高校で高校野球と向き合った2年間を、僕は誇りに思います。

そんな僕が高校野球で学んだこと、それは「支えてくれた方々への感謝」です。

毎日朝早くから弁当を持たせてくれる母や、週末の試合は遠くまで応援に来てくれる父、僕たちと同じように毎朝早く起きて朝練に来てくださり土曜日も日曜日も祝日も練習試合を組んでくださった河島先生、他にも、チームメイト、顧問の先生方、OBさんなど沢山の方々のおかげで僕は野球をすることができました。

この感謝の気持ちは以前の自分には気づくことができなかったものです。これは学年が上がってチームの中心となるにつれて、自然と周りをよく見るようになったことで少しずつ見えてきたものでした。

目標を口にする時、入部したての頃は、自分のプレーのことばかりでチームのことを考える余裕はありませんでした。しかしそれは、自分の視野が広がっていくにつれ、個人のことからチームの全体のことへと徐々に変わっていきました。視野が広がると色んなことが見えて、支えてくれる人の存在、そしてそのありがたさに気付きました。だから最後の夏には、自分の為、チームの為だけでなくて、支えてくれた人に恩返しをする為にも戦おうと自然と思うようになっていました。1年生の時の自分からは到底想像できなかったことだと思います。

先輩方の背中に憧れて始まり、僕のライトフライに終わった2年間の高校野球生活は、僕を人間的に大きく成長させてくれました。僕はこの仲間とこの天王寺高校で野球ができて、本当によかったです。

後輩へ
これから先思い悩むこともあると思いますが、その時は必ず最後に後悔しない選択をしてください。行動を起こせば例えそれが上手く行かなくても、その経験が必ず自分の財産になります。しかし何もしなかったら残るのは、やり場のない後悔だけです。悩んだ分だけ乗り越えた先には、成長が待っています。色々悩んで沢山支え合って、プレーでも人間的にも成長して、そして多くの人から応援されるチームになってください。

最後に支えてくれた全ての方々へ
2年間本当にありがとうございました。
これからも天王寺高校野球部の応援をよろしくお願いします。

75期 武村太郎

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